4-3 物価と金利

 

物価の上昇、下落はどう影響してくる?

 

物価上昇と金利上昇の関係を理解すれば、両者の変動によってお金の価値がどう変化するかがわかる。

 

物価↑ 金利↑

 

普段利用している預金や住宅ローンは物価の変動が加味されない「名目金利」

 

金利上昇、と言っても、物価も上がっている場合があるので「実質金利」で見る方がいい。

実質金利=名目金利-物価上昇率

 

例1:

定期預金の金利5%。物価上昇率3%

100万円が1年後は105万円。

100万円の車が、1年後は103万円。

今車を買ったらお金は残らないが、定期にして1年後に車を買えば2万円残る。

名目金利が物価上昇率を上回っている(お金の上昇がモノの上昇より多い)とお金は実質的に増える。

 

例2:

定期預金の金利1%。物価上昇率3%

100万円が1年後は101万円。

100万円の車が、1年後は103万円。

車は買えない。

 

名目金利が物価上昇率を下回っている(お金の上昇がモノの上昇より少ない)とお金は実質的に減る。

景気悪化、名目金利は下がりやすい。

 

景気悪化、金利が上がるインフレは、スタグフレーション

→かなり悪い経済状態。

 

 

例3:

定期預金の金利1%。物価上昇率-2%

100万円が1年後は101万円。

100万円の車が、1年後は98万円。

 

3万円の金利(3%)と同じこと。

デフレの状態。

 

一見家計が助かるように見えるが、企業の収益が減るので結局は悪影響。

名目金利が物価上昇率を上回っている(お金の上昇がモノの上昇より少ない)とお金は実質的に増える。

 

近年の状況。

預金金利がインフレ率(消費者物価指数)を上回っている。

 

 

 

 

 

 

日経一面 2012年2月

120201 インフラ1兆円輸出支援へ。被災地から優先調達。水道、鉄道、政府が方針。ミャンマー向けなど。三井物産、日立製作所。アジア中心。(途上国へのインフラ輸出。輸出ってことは円高だと厳しいんだよね。でも上下水道の整備とかに日本の技術を使えるのはいいね。)
120202 電機苦境再生急ぐ。権限集中で改革。ソニー平井社長兼CEO体制に。ストリンガー氏取締役会議長に。(一世代前、日本を支えたこの業界がいつかは斜陽産業になることもあるのだろうか。でも家電はなくならないだろうから形を変えていくのかな。)
120203 商社、海外から配当1兆円。資源事業実を結ぶ。円高追い風に投資拡大。油田、ガス田、鉱山資源権益からの収入。(貿易から投資に方向転換してうまくいってるんだ。)
120204 今期パナソニック最終赤字7800億円。環境軸に収益改善急ぐ。三洋の減損処理響く。(テレビで「パナソニックのゴパン」て言ってたのがちょっと切なかったなあ。。)
⑥120205 世界の株回復中銀が支え。相次ぐ緩和46市場で上昇。実体経済とズレ。(今年はちょっと上向く方向なのかな。でも油断はしないぞ。)
120206 三菱自、欧州生産撤退へ。新興国シフト加速。需要低迷、来年メド。(おじいちゃん国から若者国へシフトって感じがする。)
120207 ボルボ・UD(スウェーデン)、東風(中国)と提携。中国で環境対応車。トラック生産日欧中連合。(いすずのトラックも重慶汽車グループと大型トラックを共同開発している。どんな業界もグローバル化が進んでる。)
120208 半導体3社事業統合交渉。ルネサス、富士通、パナソニック。設計と製造で新会社。生き残りへ開発力強化。(競争から共同へ。抱え込むよりオープンに。それでよりよい社会、世界になればいいと思う。)
120209 米軍中国にらみ再編。「普天間移設待てぬ。」防衛協力日本の役割増す。
120210 ギリシャ緊縮策合意。EU・IMF追加支援の公算。(このまま欧州問題収まってくれたらいいけど国債の償還日をむかえる3/20前後にまた一波乱ありそう。まだまだ注意。)
120211 邦銀、信用力で優位。ドル調達拡大、海外事業を加速。欧州危機で欧米銀にリスク。(相対的に日本がよくなっているのか。)
⑦120212 欧州金融なお綱渡り。ギリシャ緊縮策可決の公算。ユーロ圏実行力見極め。伊では34銀行が格下げ。(まだまだ予断は許さない状況か。)
120213 東電と国最終攻防。経産省、議決権「2/3」視野。資本注入に5条件。社長「民営望ましい」
120215 脱デフレへ緩和継続。日銀「物価上昇1%めど」明示。国債買い入れ年40兆円に。(脱デフレへ向けて少しでも動きだせるんだろうか?)
120216 緩和マネー、株価下支え。円高一服、業績好転に期待。日経平均9200円回復。 
120217 低燃費車三つどもえ。ディーゼル再評価。軽は30キロ超え、ハイブリッドに迫る。(マツダのディーゼル開発をビジネスサテライトでもやってた。ディーゼルってイメージ悪かったけどこれで少し解消されるのかな。)
120218 北米最大ガス田開発。三菱商事。4800億円日本にLNG輸出へ。発電コスト低減。(LNG液化天然ガスの輸入が増えている。安定確保ができるようになるのだろうか。)
⑧120219 温暖化対策取引1万社と。パナソニック排出削減促す。国際基準「スコープ3」に先手。
120220 秋入学、変革のうねり。沈む日本危機感共有。(グローバル化もいいけど、独自の文化も結構大事にしたいなと思ってしまう。。日本中どこにいっても駅前は同じ風景というのがちょっとさみしい感じと似ているかも。)
120221 先端医療実用化早く。厚労省と20大学連携。臨床研究を支援。iPS細胞・心筋シート。(こういうニュースは歓迎。)
120222 ギリシャ財政、EUが監視。欧州中銀など協力。緊縮策に懸念。
120223 超円高修正進む1ドル80円台、一時7か月ぶり水準。米景気に期待感、リスク回避緩む。
120224 年金2000億円大半消失。AIJ投資顧問「高収益」と虚偽。100超す企業から受託。きょう業務停止命令、金融庁。
120225 ケイマン使い実態隠しかAIJ年金全額を投資。登録取り消しへ。金融庁。(タックスヘイブンでケイマン諸島ってよく聞くけど実際こういう風に使われてるのか。)
⑨120226 信託・企業年金も調査。政府、ずさん運用洗い出し。AIJ問題。資産内容リスク管理点検。
政府は約2000億円の企業年金資金の大半が消失していたAIJ投資顧問の問題を受け、実態調査に乗り出す。
120227 AIJ契約、中小9割。厚労省、昨年度末調べ 80年金120件
120228 エルピーダ更生法申請。国策半導体は頓挫。市況悪化韓国勢に後れ。負債4480億円、製造業最大。
120229 AIJ委託94に拡大。12月時点全容年金など2043億円。

4-1~2 金利と景気

 

需要と供給のバランスが金利を決める

金利が動く基本は、お金の需給バランスにある。

 

金利の変動はお金の需給関係が変化するから。

 

有利なのは少数派。

 

需給バランスで決まるしくみを「マーケットメカニズム(市場原理)」という。

 

金利は為替より経済に及ぼす影響が大きいので、日銀の金融政策でコントロールされて大幅な変動は阻止されている。

 

景気の良し悪しでどう変わる?

金利は好景気と不景気の循環に左右されるが、同時に景気の行き過ぎを防ぐ安定化装置の役目も果たしている。

金利は景気循環に大きく左右される。

金利を動かす最大の要因が「景気」。(経済活動の勢い)

 

好景気→金利高に。

 

同時に金利は「景気を動かす力」にもなる。

 

お互いに影響しあう。

行き過ぎを止める。

 

「スタビライザー(安定化装置)機能」

 

長期金利は経済成長率と連動している。

 

・ 高度成長期

GDP成長率・・9.5%

長期金利・・8~14%

 

・ 現在

GDP成長率・・1.0%

長期金利・・1.4%

 

この10年間、長期金利は2%を超えられない

「2%の壁」

 

 

 

 

 

 

 

3-6 金利スワップ

 

金利スワップから金利動向を読む。

金利スワップは変動金利と固定金利を交換する取引。

 

金利スワップ

固定金利の資産と、変動金利の資産の交換

 

変動金利でお金を借りていていると金利が上昇するリスクがある。

金利スワップを利用して変動金利を固定金利に交換してリスク回避。

 

OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)

変動金利の無担保コール翌日物金利と固定金利を交換する取引。

 

外資系金融機関が中心。市場参加者はまだ限られている。

 

 

OIS市場で取引された金利

→「日銀の利上げ、利下げのタイミングや幅を市場参加者が、どう見ているのかを知る手掛かりになる」

 

 

 

 

3-5 金利オプション取引

 

金利を対象とする金利オプション取引

 

オプション取引とは・・

「あらかじめ特定の価格で売買する権利」を取引する

 

身近な金利オプションはキャップとフロア。

 

「デリバティブズ(金融派生商品)」

先物取引、オプション取引、スワップ取引など

 

オプション・・選択する権利

ある商品をあらかじめ「決められた価格」で「決められた期日」に売買する権利

 

コールオプション 期間内に買う権利

プットオプション 期間内に売る権利

 

オプションを買って、権利行使すればメリットがあるときは権利行使する。

メリットがなければ放置。オプション代はムダになり、損になる。

 

例:138円で債券先物を買えるコールオプション 代金は50銭

権利行使期日は139円。

 

オプションを行使して138円で買い、139円で売る。

オプション代50銭を差し引いて、50銭の利益が出る。

 

そのほかのオプション取引

 

①キャップ

金利上昇にふた。

変動金利でも一定以上には上がらない。

 

住宅ローンなど。

ローンの借り手はキャップを買って、そのコストも払っている。

 

②フロア

 

金利が一定より下がらないように。

個人向け国債など。0.05%未満に下がらない商品。

 

 

 

 

 

3-4 先物から金利動向を読む

 

金利・債券の先物取引から金利動向を読む

 

先物は現物の金利水準に大きな影響を与える重要な取引

 

・先物取引・・将来の期日に売買することを事前に契約しておく取引

・現物(げんぶつ)取引・・商品を渡して代金を受取る通常の取引

 

現在は期日前でも売買できる。

差額だけをやりとりする差金決済。

 

リスクヘッジのほかの2つの役割

 

①公正な価格の形成

多くの売り手と買い手が参加するほど価格が妥当な線に落ち着く

 

②資産運用の機会を増やす

金利、債券先物は機関投資家(銀行、証券、保険)が多い。

 

 

「東京金融取引所」

日本で唯一の金融先物の取引所

 

「ユーロ円3カ月金利先物」などが上場。

 

金利先物

金利先物の価格

 

「100-金利(年率%)」で表示

 

金利0.375%の場合

100-0.375%=99.625

 

先物価格の上昇↑ → 金利が低下している

 

 

債券先物

「長期国債先物」が多く取引される。

 

諸条件を標準化した「標準物」という架空の国債が取引対象。

先物価格には将来の金利水準の予想がスピーディーに織り込まれている。

 

 

 

 

 

 

 

 

財務分析 8つの指標 「成長性」

8つの指標
★「成長性」チェック

① 売上高 伸び率
当期売上高
前期売上高  -1
・ 成長性の最も重要な指標。
・ お客さんは増えているか?
・ ライバル企業業界全体の伸び率比較。


② 営業利益 伸び率
当期営業利益
前期営業利益  -1
・ 本業のもうけ、利益は伸びているか
・ 売上高とともに、バランスよく伸びているのがのぞましい。
◎ 増収・増益
△ 増収・減益
○ 減収・増益
× 減収・減益


引用:

新版 あなたを変える「稼ぎ力」養成講座 決算書読みこなし編 新版 あなたを変える「稼ぎ力」養成講座 決算書読みこなし編
(2006/05/26)
渋井 真帆
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3-3 金利の方向感イールドカーブ

 

長短の「期間別利回り」を結ぶと、金利の方向感が分かる

イールドカーブの動きをもとに将来の金利の変動を読み取る。

 

将来の金利の動向を見るには

イールドカーブ(利回り曲線)

 

異なる期間の金利を短い方から長い方へ結ぶ。

 

「金融市場参加者の金利観」を表わす

順イールド

右肩上がり。金利が上がると予想する人が多い。

 

逆イールド

右肩下がり。金利が下がると予想する人が多い。

 

フラットイールド

水平。金利は横ばいと予想する人が多い。

 

通常は順イールド。

90年バブル崩壊。

91年、失われた10年(不況)の始まり

→逆イールドに。

 

ギリシャでも逆イールド。

2年物38%、10年物13%

ギリシャ国債の買い手が市場でほとんど見当たらなくなった。

 

 

 

 

3-2 長期金利の動向

 

長期金利の動向を読む

長期金利の動向は、新発10年物国債の流通利回りに注目する。

 

そこから何を読み取るか。

「新発10年物国債の流通利回り」は同じ価格、期間、利率の他の債券と比べて最も低くなる。

 

→信用リスク(貸したお金が返ってこない可能性)が最も低いため。

 

→国は国民から税金を強制的に徴収する権利(徴税権)を持っている。

 

借金返済に困ったら増税ができる。

 

ゆえに、安全性が高い金融商品だとしても、金利が国債の利回りより低かったら購入するのは得策でない、と言える。

 

 

日本相互証券・・ブローカーズブローカー(BB)

債券の売買を仲介。

 

日経には、その日の最後に取引が成立した利回りが掲載されている。

 

 

 

 

 

 

3-1 短期金利の動向

 

短期金利の動向を読む

無担保コール翌日物、TIBORの動きのどこに注目し、何を読み取るか。

 

日銀 最高決定機関

「政策委員会・金融政策決定会合」

 

政策金利の誘導水準を決める。

公開市場操作を行なっているが、大きく水準を変えることはできない。

 

→日々の小さな変動を見ていても意味がない。

 

 

超低金利時代

 

95年から、15年間0%台が続いている。

理由→物価が下がり続けているから。

 

GDPデフレーター(物価水準)は15年間、前年比マイナス。

 

「15年デフレ」

 

 

日銀は「日本経済(景気と物価)は非常に弱い」と考えている。

 

 

TIBOR

銀行が他行にお金を貸す貸出金利。

 

定期預金の金利にも影響。

 

「金利裁定が働いている状態」

→異なる市場どうしの金利が、資金の出入りを通じてほぼ同じになっていくこと。