4-5 財政政策

 

財政政策でどのように動く?

財政政策が拡張か緊縮か、国債が増発されるかどうかで、長期金利が動く。

 

「財政」は金利に大きな影響を及ぼす。

財政とは、政府が税金を使って国民生活に役立つサービスを行なう活動。

 

税金の使い道

 

・年金、医療社会保障

・教育

・道路など公共事業

・防衛

 

 

「マクロ経済政策」

国の経済全体に影響を及ぼす政策

 

①日銀 金融政策 短期金利に影響する

②政府 財政政策 長期金利に影響する

 

→なぜなら国債の発行方針は財政政策で決まるため。

 

国債の利回りは長期金利の指標。(新発10年物)

 

 

財政政策

①財政拡張(財政出動)

②財政緊縮

 

 

 

 

4-4 資金供給オペの種類

 

金融政策はどう作用する?

世の中の金利のうち、とくに短期金利は、日本銀行の金融政策に沿って動いている。

 

景気は良くても悪くても、物価の上昇、下落につながる。

 

「景気の行きすぎ」を押さえるために日銀の「金融政策」がある。

 

インフレ時→金融引き締め

デフレ時→金融緩和

 

 

★資金供給オペレーション(オペ)

①共通担保オペ

国債、社債などを値担保(担保の一種)として資金供給。

 

②国債買い切りオペ

日銀券(お札)発行残高を上限に日銀が長期国債を買うことで資金供給。

 

③国債買い現先オペ

国債を売り戻し(買った債券を再び売ること)条件付きで日銀が買うことで資金供給。

④国庫短期証券買い切りオペ

国庫短期証券を日銀が買い入れて資金供給。

 

 

★資金吸収オペ

 

・手形売出オペ

・国債売り現先オペ

 

公定歩合の性格は、銀行から見ると「天国から地獄に」

 

昔は市場より安く借りれたので、補助金のようだったが、今は市場より高く借りることになるので、罰則。

日銀にはお金が余っている。

しかし信用力の低いところには貸さない。

 

貸し倒れ、不良債権になるのを避ける。

 

景気が悪いので借りたがる企業や家計は少ない。

→「信用創造が活発でない」という。

 

民間銀行の日銀当座預金には「死に金」が積み上がっている。

 

91年以降「預金準備操作」は行なわれていない。

 

銀行は日銀の口座に一定の割合入れなくてはいけない

この義務を「準備預金制度」という。

 

預け入れる一定の率→ 「預金準備率」

預け入れる最低金額→ 「法定準備(所要準備)」

 

例:預金残高が2兆5000億円、1.2% 300億円

 

銀行は近年法定準備を上回る額を預けている。超過準備。

→世間の銀行からお金を借りたいという資金需要が弱いことを示している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4-3 物価と金利

 

物価の上昇、下落はどう影響してくる?

 

物価上昇と金利上昇の関係を理解すれば、両者の変動によってお金の価値がどう変化するかがわかる。

 

物価↑ 金利↑

 

普段利用している預金や住宅ローンは物価の変動が加味されない「名目金利」

 

金利上昇、と言っても、物価も上がっている場合があるので「実質金利」で見る方がいい。

実質金利=名目金利-物価上昇率

 

例1:

定期預金の金利5%。物価上昇率3%

100万円が1年後は105万円。

100万円の車が、1年後は103万円。

今車を買ったらお金は残らないが、定期にして1年後に車を買えば2万円残る。

名目金利が物価上昇率を上回っている(お金の上昇がモノの上昇より多い)とお金は実質的に増える。

 

例2:

定期預金の金利1%。物価上昇率3%

100万円が1年後は101万円。

100万円の車が、1年後は103万円。

車は買えない。

 

名目金利が物価上昇率を下回っている(お金の上昇がモノの上昇より少ない)とお金は実質的に減る。

景気悪化、名目金利は下がりやすい。

 

景気悪化、金利が上がるインフレは、スタグフレーション

→かなり悪い経済状態。

 

 

例3:

定期預金の金利1%。物価上昇率-2%

100万円が1年後は101万円。

100万円の車が、1年後は98万円。

 

3万円の金利(3%)と同じこと。

デフレの状態。

 

一見家計が助かるように見えるが、企業の収益が減るので結局は悪影響。

名目金利が物価上昇率を上回っている(お金の上昇がモノの上昇より少ない)とお金は実質的に増える。

 

近年の状況。

預金金利がインフレ率(消費者物価指数)を上回っている。

 

 

 

 

 

 

4-1~2 金利と景気

 

需要と供給のバランスが金利を決める

金利が動く基本は、お金の需給バランスにある。

 

金利の変動はお金の需給関係が変化するから。

 

有利なのは少数派。

 

需給バランスで決まるしくみを「マーケットメカニズム(市場原理)」という。

 

金利は為替より経済に及ぼす影響が大きいので、日銀の金融政策でコントロールされて大幅な変動は阻止されている。

 

景気の良し悪しでどう変わる?

金利は好景気と不景気の循環に左右されるが、同時に景気の行き過ぎを防ぐ安定化装置の役目も果たしている。

金利は景気循環に大きく左右される。

金利を動かす最大の要因が「景気」。(経済活動の勢い)

 

好景気→金利高に。

 

同時に金利は「景気を動かす力」にもなる。

 

お互いに影響しあう。

行き過ぎを止める。

 

「スタビライザー(安定化装置)機能」

 

長期金利は経済成長率と連動している。

 

・ 高度成長期

GDP成長率・・9.5%

長期金利・・8~14%

 

・ 現在

GDP成長率・・1.0%

長期金利・・1.4%

 

この10年間、長期金利は2%を超えられない

「2%の壁」

 

 

 

 

 

 

 

3-6 金利スワップ

 

金利スワップから金利動向を読む。

金利スワップは変動金利と固定金利を交換する取引。

 

金利スワップ

固定金利の資産と、変動金利の資産の交換

 

変動金利でお金を借りていていると金利が上昇するリスクがある。

金利スワップを利用して変動金利を固定金利に交換してリスク回避。

 

OIS(オーバーナイト・インデックス・スワップ)

変動金利の無担保コール翌日物金利と固定金利を交換する取引。

 

外資系金融機関が中心。市場参加者はまだ限られている。

 

 

OIS市場で取引された金利

→「日銀の利上げ、利下げのタイミングや幅を市場参加者が、どう見ているのかを知る手掛かりになる」

 

 

 

 

3-5 金利オプション取引

 

金利を対象とする金利オプション取引

 

オプション取引とは・・

「あらかじめ特定の価格で売買する権利」を取引する

 

身近な金利オプションはキャップとフロア。

 

「デリバティブズ(金融派生商品)」

先物取引、オプション取引、スワップ取引など

 

オプション・・選択する権利

ある商品をあらかじめ「決められた価格」で「決められた期日」に売買する権利

 

コールオプション 期間内に買う権利

プットオプション 期間内に売る権利

 

オプションを買って、権利行使すればメリットがあるときは権利行使する。

メリットがなければ放置。オプション代はムダになり、損になる。

 

例:138円で債券先物を買えるコールオプション 代金は50銭

権利行使期日は139円。

 

オプションを行使して138円で買い、139円で売る。

オプション代50銭を差し引いて、50銭の利益が出る。

 

そのほかのオプション取引

 

①キャップ

金利上昇にふた。

変動金利でも一定以上には上がらない。

 

住宅ローンなど。

ローンの借り手はキャップを買って、そのコストも払っている。

 

②フロア

 

金利が一定より下がらないように。

個人向け国債など。0.05%未満に下がらない商品。

 

 

 

 

 

3-4 先物から金利動向を読む

 

金利・債券の先物取引から金利動向を読む

 

先物は現物の金利水準に大きな影響を与える重要な取引

 

・先物取引・・将来の期日に売買することを事前に契約しておく取引

・現物(げんぶつ)取引・・商品を渡して代金を受取る通常の取引

 

現在は期日前でも売買できる。

差額だけをやりとりする差金決済。

 

リスクヘッジのほかの2つの役割

 

①公正な価格の形成

多くの売り手と買い手が参加するほど価格が妥当な線に落ち着く

 

②資産運用の機会を増やす

金利、債券先物は機関投資家(銀行、証券、保険)が多い。

 

 

「東京金融取引所」

日本で唯一の金融先物の取引所

 

「ユーロ円3カ月金利先物」などが上場。

 

金利先物

金利先物の価格

 

「100-金利(年率%)」で表示

 

金利0.375%の場合

100-0.375%=99.625

 

先物価格の上昇↑ → 金利が低下している

 

 

債券先物

「長期国債先物」が多く取引される。

 

諸条件を標準化した「標準物」という架空の国債が取引対象。

先物価格には将来の金利水準の予想がスピーディーに織り込まれている。

 

 

 

 

 

 

 

 

3-3 金利の方向感イールドカーブ

 

長短の「期間別利回り」を結ぶと、金利の方向感が分かる

イールドカーブの動きをもとに将来の金利の変動を読み取る。

 

将来の金利の動向を見るには

イールドカーブ(利回り曲線)

 

異なる期間の金利を短い方から長い方へ結ぶ。

 

「金融市場参加者の金利観」を表わす

順イールド

右肩上がり。金利が上がると予想する人が多い。

 

逆イールド

右肩下がり。金利が下がると予想する人が多い。

 

フラットイールド

水平。金利は横ばいと予想する人が多い。

 

通常は順イールド。

90年バブル崩壊。

91年、失われた10年(不況)の始まり

→逆イールドに。

 

ギリシャでも逆イールド。

2年物38%、10年物13%

ギリシャ国債の買い手が市場でほとんど見当たらなくなった。

 

 

 

 

3-2 長期金利の動向

 

長期金利の動向を読む

長期金利の動向は、新発10年物国債の流通利回りに注目する。

 

そこから何を読み取るか。

「新発10年物国債の流通利回り」は同じ価格、期間、利率の他の債券と比べて最も低くなる。

 

→信用リスク(貸したお金が返ってこない可能性)が最も低いため。

 

→国は国民から税金を強制的に徴収する権利(徴税権)を持っている。

 

借金返済に困ったら増税ができる。

 

ゆえに、安全性が高い金融商品だとしても、金利が国債の利回りより低かったら購入するのは得策でない、と言える。

 

 

日本相互証券・・ブローカーズブローカー(BB)

債券の売買を仲介。

 

日経には、その日の最後に取引が成立した利回りが掲載されている。

 

 

 

 

 

 

3-1 短期金利の動向

 

短期金利の動向を読む

無担保コール翌日物、TIBORの動きのどこに注目し、何を読み取るか。

 

日銀 最高決定機関

「政策委員会・金融政策決定会合」

 

政策金利の誘導水準を決める。

公開市場操作を行なっているが、大きく水準を変えることはできない。

 

→日々の小さな変動を見ていても意味がない。

 

 

超低金利時代

 

95年から、15年間0%台が続いている。

理由→物価が下がり続けているから。

 

GDPデフレーター(物価水準)は15年間、前年比マイナス。

 

「15年デフレ」

 

 

日銀は「日本経済(景気と物価)は非常に弱い」と考えている。

 

 

TIBOR

銀行が他行にお金を貸す貸出金利。

 

定期預金の金利にも影響。

 

「金利裁定が働いている状態」

→異なる市場どうしの金利が、資金の出入りを通じてほぼ同じになっていくこと。