5-4 ヘッジファンド

 

ヘッジファンドの特長

①「私募形式」である

 

・公募形式・・不特定多数の投資家からお金を集めて運用する一般の投資信託

・私募形式・・資産家など特定の少人数からお金を集めて運用する。投資対象、

 

運用方法、情報開示の法のルールを免れて自由に運営できる。

 

②「絶対リターン」を狙う

投資信託は市場平均の上を目標。

市場がマイナスのとき、市場平均を下回るマイナスならOKとなってしまう。

 

ヘッジファンドは下落局面でも利益を狙う。

 

 

③「成功報酬」インセンティブフィー

92年 ジョージ・ソロス(米)

 

ポンド危機を引き起こした。

英は欧州連合の一員としてERM(欧州為替相場メカニズム)に参加。

 

ポンドと他の参加国との為替レートを一定の枠内に収めなくてはいけなかった。

英経済は低迷していてソロスは

「通貨価値を過大評価されたポンドはいずれ大幅なポンド安にならざるをえない。」

と予測。

 

100億ドル(8000億円)のポンド売り。

 

対抗するため英政府は政策金利10%

→午前中に12%、午後に15%に。

 

投資家のポンド買いを誘ったがポンド4割下落。

20億ドル(1600億円)の利益を得た。

 

 

 

5-3 市場介入

 

中央銀行

通貨を発行し、国の金融政策を行なう

 

日 日本銀行

米 連邦準備制度理事会(FRB)

欧 欧州中央銀行(ECB)

英 イングランド銀行(BOE)

 

市場介入

外国為替平衡(へいこう)操作

財務大臣が日銀に指示

 

介入資金はどこから

・ドル買い、円売りの場合

財務省管轄「外国為替資金特別会計」から出される。

 

上限額は外国為替資金証券(為券)発行限度額の140兆円

・円買い、ドル売りの場合

 

外貨準備高(80兆円)から出される。

 

04年 円高を止めるため14兆円を投入

1国→単独介入

複数国→協調介入

 

85年プラザ合意後、高かったドルの価値を実態に合わせたものにするため各国がドル売りしてドル安に。

 

通貨当局の要人が「市場介入を検討している」とほのめかすだけ

→口先介入

 

G7(7カ国財務相・中央銀行総裁会議)

日米英独仏伊加

共同声明で市場にメッセージ

 

 

 

 

5-1~2 為替市場

 

外国為替市場

金融市場の中で世界最大

 

取引量は年々拡大。

07年は4兆ドル(320兆円)(01年の2.5倍)

 

背景

BRICSの台頭などで主要通貨以外の通貨も活発に

 

1位 ユーロ/ドル

2位 ドル/円

3位 ポンド/ドル

 

日、米、欧の通貨でシェア半分。

1位 ロンドン(16時)

2位 NY(22時)

3位 チューリッヒ(スイス)

4位 東京(10時)

 

「シティ・オブ・ロンドン」(通称シティ)

ウォール街と並ぶ金融市場。

 

アジア、アフリカ、東欧、中近東の通貨も取引されていることが1位の理由。

 

スイスは2015年までにロンドン、NYにつぐ金融市場をめざす

 

「金融界マスタープラン」

 

日本は景気後退、貿易取引減少で少々元気がない。

 

 

保険会社・年金基金

顧客から預かった保険料や掛け金を運用。

満期まで長いため。

複数国の株、債券に幅広く投資

 

「国際分散投資」

グローバルアセットアロケーション

 

 

 

4-8 ドルの今後は

 

ドルが基軸通貨の背景には政府がドル高を国の政策としている

 

「強いドルは国益」

輸入品を安く仕入れられるので国内消費がさかんになる。

 

貿易赤字でドル流出。

海外の投資家が米国債を買うことでドル流入で埋める。

 

サブプライムでかげりが。

 

外貨準備のドルの割合を下げる国や貿易の決済通貨にユーロを使う国など

日本政府は依然強いドルを支持し外国との決済にはドルを使うことを表明。

 

ドル高円安の方が輸出に都合がいい。

 

 

日米安全保障条約

日米同盟重視

 

強いドル政策を放棄してドル安が進めば、米国内で物価上がり消費が抑えられる。

 

安いドルに米国債の魅力がなくなり投資家が買わなくなるので資金調達の手段がなくなる。

米の力が弱まり世界経済にダメージ。

 

 

 

 

 

 

4-7 為替予約でリスクヘッジ

 

輸出企業

為替相場の変動リスクヘッジとして「為替予約(先物為替予約)」をする。

 

3ヶ月後、6ヶ月後などにあらかじめ決められた為替レートで外貨の売買を行なう。

通常の為替レート「直物(じかもの)レート」(スポットレート)

為替予約のレート「先物レート(フォワードレート)」

 

予約しない方がよかったという場合もあるが、利用するのは事業計画が立てやすくなったり、資金繰りを安定させる方が重要と考えるから。

 

 

 

4-6 中国はいずれ変動相場に

 

中国

1ドル=8元の固定相場制だった。

 

ドルと自国通貨をリンクさせ為替レートを固定する

→「ドルペッグ制」

 

05年 「管理変動相場制」に移行。

変動幅を一定に抑える。0.3%。

 

「通貨バスケット」

ドル、ユーロなど複数の主要通貨で構成するバスケット(かご)から算出したレートに自国通貨を連動させるシステム

米が切り上げを要求。

貿易赤字の6割が対中国。

 

かつての日本のように中国が米に中国製品を輸出している。

外貨準備は世界1位。

 

ある程度の経済力がつくと変動に変えるよう世界各国から促される。いずれ変動になる。

 

保有している外貨は人民元に換算すると将来的に大幅に目減りするリスク。

このまま増やし続けるわけにもいかない。

 

 

 

 

4-3~5 金・原油・投機筋

 

・金

80年 850ドルから下げて

99年 253ドル

01年 米ITバブル崩壊、テロのあと上昇し続けている。

 

金自体が価値のある実物資産なので株や債券のように発行元が倒れる信用リスクがない。

政治経済が不安定な時代は上昇。

ドルとは反対の動き。逆相関関係。

 

・原油

原油価格の上昇→米世界で一番原油を使う。

物価上昇→個人消費悪化→ドル安

 

ドルと逆相関関係。

 

NYMEX NYマーカンタイル取引所

 

 

日本

省エネ対策が進んでいてエネルギー効率が世界最高水準なので影響はまだまし

経産省・資源エネルギー庁レポ

1000ドルGDPを生むのに必要なエネ消費量を石油に換算。

 

同じ製品を作るのに日本1、米2.7と2.7倍の石油が必要。

 

・投機マネー

実需筋 2割 貿易、資本取引、個人両替など

投機筋 8割 経済活動に関係なく為替差益を狙う

銀行が主なプレーヤー

 

「為替ディーラー」

外国為替取引を専門に行なう。

 

顧客の注文を取り次ぐのと、自己勘定(銀行自身の資金)で運用もする。

ニュースに素早く反応するため短時間に大きく動く。

 

 

 

4-1~2 為替と株価

 

ドル45%、ユーロ15%、円10%

3通貨で市場の70%を占める。

 

株価との関係

「TOPIX」・・東証株価指数

 

東京証券取引所第1部の全銘柄を対象として算出。

東証1部全体の平均的な動きを反映。

 

cf.「日経平均株価225」は東証1部の1680社のうちの225社。

 

 

為替と株価

 

2000年~04年は連動せず

05年~現在 連動している

 

 

日本

貿易黒字、輸出企業が多いため円高は業績悪化で株価に影響

株が売られやすくなる。

 

 

1円円高

 

輸出:トヨタ350億円、ホンダ120億円の

営業利益が為替差損でなくなる。

 

輸入:ニトリ数億円の利益(アジアからの輸入が多い)

 

 

 

 

3-8~10 1年の為替相場の動き

 

株価上昇、円高

為替要因まとめ

・貿易取引

・資本取引

・景気

・GDP成長率

・政策金利

・インフレ率

・株価

など

 

経済的な基礎的な条件

「ファンダメンタルズ」

 

分析には「経済指標」が役立つ

・米雇用統計

・ISM製造業景況感指数

(企業が感じる景気の良し悪し)

・非農業部門失業率

 

「日銀短観」

海外で「TANKAN」としても知られる。

 

「企業期経済測調査」

大企業、中小企業、製造、非製造1万社アンケート

 

3、6、9、12月の年4回実施。

 

業況判断指数(DI=ディフュージョン・インデックス)

 

プラスなら景気上昇、円高要因を示唆する

ユーロ圏はドイツ企業景況感指数に注目

 

 

〇1か月の相場の動き

5日、10日、月末は外貨の注文が出やすく円安傾向

 

〇1年の相場の動き

 

・2~3月 円高傾向

日本企業が決算を前に、海外の子会社が稼いだ利益を国内に送るリパトリエーション(資金の本国還流)が活発に。

・4~5月 円安傾向

決算終了後、日本企業が新規取引を始める

 

・8月 取引量が減る。

 

・11月 ドル高、ユーロ高傾向

12月決算の欧米企業がリパトリエーション

 

・12月 取引量が減る。

欧米クリスマス休暇。外国企業は12月決算のため

損益が大きく動くのを嫌い取引を控える。

 

 

 

 

 

 

 

 

3-4~7 為替とインフレ

 

景気↑ GDP成長率↑

通貨の価値↑

 

「政策金利」

中央銀行が銀行へ貸すときの金利。

個人や企業の預金や融資の金利の基準。

 

好景気 金利上げて加熱を抑える。(お金を借りにくくする)

不景気、金利下げて投資を促す。(お金を借りやすくする)

 

・「内外差金利」

日本国内と外国との金利差

金利差の高い国へお金が流れる

 

・「購買力平価説」(一物一価(いちぶついっか)の法則)

同じモノの値段はどこの国でも同じになる。

 

ビッグマック

東京300円、NY 2ドル

1ドル=150円

 

1年後、NYの物価が上がり(インフレになり)

東京300円、NY 3ドル

1ドル=100円

 

 

インフレ率の高い国に通貨は、購買力(モノを買う力)が減少するため、インフレ率の低い国に対して、為替レートが下落する。