3-8 金融政策の提案

 

日銀の仕事

①「銀行券」の発行

②通貨の調節、金融システムの安定化

③物価の安定

 

この3つをしっかり行なうことが日本経済を良くする。

金融政策につながる。

 

①銀行券の発行

原価数十円の紙を、一万円として扱う。

日銀への信頼感。

 

BSは10日ごとに公表される「営業毎旬報告」

・負債・・発行銀行券 800兆円(お札・無利子の借金。)

・資産・・国債 750兆円(国の借金)

 

健全な財務とは

=「負債を支えている資産の中身が優良であること」

 

国債は信用度が高いので財務の健全性を保っている。

しかし2010年10月「包括緩和」政策決定。

 

リスクの高いETF、REITなどを取り入れはじめる。

「財務の健全性に不安。あまり良くない」

 

 

②金融システム安定化

取引相手の信用リスク

(貸したお金が返済されなくなる可能性。カウンターパーティーリスクという)

の警戒。

 

金利上昇、企業に資金がいかなくなり経済に悪影響。

 

01年から5年間行なった「量的緩和政策」は、景気刺激効果は乏しかったものの
金融安定には効果があったといえる。

 

③物価の安定

物価の安定=物価の先行きが予想しやすい状態

インフレ、デフレ、先行き不透明だと、企業も家計も経済活動が行ないにくい。

若干プラスの物価上昇率を目指すのがよい。

 

現在インフレ目標を導入していないのは欧米もそうなので、日本も代わりに「中長期物価安定の理解」の導入しているのは妥当と思われる。

 

 

★慢性的なデフレは「人口減少」と「過剰供給」。

現在金融機関が実際に必要としている金額を、はるかに超える資金(20兆円)を、金融市場に供給している。

しかしこの金融政策が原因でデフレになっているわけでない。

 

生産年齢人口が95年ピークで減少

(労働力の中核となる15~64歳)

過小需要、過剰供給。

 

根本的な構造問題なのでデフレは、金融政策で解決しない。

 

 

日銀はインフレを目指して強引な政策を取ると、日本という国の重要な財産である「日本銀行券(お札)の信用」に傷がつく恐れがある。

 

日銀は経済に大きな力を持つ。

政治家や経済評論家の政策提言のプレッシャーに負けず、「孤高の存在」として
真の役割を果たすことが重要。

 

 

 

 

3-7 インフレ目標

 

インフレーション・ターゲティング(インフレ目標)

日銀が物価上昇率(インフレ率)の数値目標をあげる。

 

将来物価が上がるという「インフレ期待」を抱かせる。

 

日銀が銀行から国債など買入で、金融市場への資金供給量を増やす。

→人為的に物価上昇と賛成派は主張。

 

デフレ脱却できないのは日銀の金融緩和が不足とも。

例.インフレ目標 前年比2~3%

 

物価上昇が3%を超えそうなら金融引き締め、

2%を下回るなら金融緩和を行なう。

 

90年NZを皮切りに、世界20カ国が採用

 

インフレ抑制には成功しているが、デフレ脱却はない。

 

 

アンカー効果

「インフレに中央銀行が強く関わる」と国民が考え、インフレ期待が望ましい水準で固定される効果。

 

名目金利のゼロ制約

利下げの余地がゼロまで行くともうない。

 

インフレ目標賛成派の主張

・国債を日銀が引き受ける

・株や土地を日銀が購入する

国民が日銀発行の紙幣を信用しなくなる。

家計金融資産の海外流出、さらに経済悪化。

 

 

現在日銀はインフレ目標には消極的。

代替案

 

「中長期的な物価安定の理解」

前年度比1%程度が望ましい。

 

海外は2%。日本の経済構造、労働慣行、

 

国民の物価の認識等が反映。

 

 

 

 

 

3-6 近年の金融政策

 

景気悪化対策、デフレの歯止めとして

99年2月~00年8月(1年半)

「ゼロ金利政策」

 

政府は解除が早すぎるとしたが

多数決で解除決定。

 

 

01年ITバブル崩壊

01年3月に政府「戦後初めてのデフレ」

 

本格的な不況

解除のタイミング悪かった。

 

日銀は「解除の失敗」を認めず、またゼロ金利にもどることなく

今度は「量的緩和」政策を導入。

 

「CPIの上昇率が0%以上になるまで」

01年-06年

各銀行の日銀口座残高

4兆円→35兆円に

 

企業向け貸し出しに回る?

08年 世界経済悪化。

 

 

新型オペ

2日以上の資金取引にも10兆円導入→金利低下。

 

10年 新型オペ拡充

10兆円足して合計30兆円

 

 

10年10月「包括緩和」導入

・金利0%~0.1%

・物価が安定するまで続ける

・資金買入等の基金

 

国債、CP、社債、EFT、REITなど多様な金融資産の買い入れを決定。

基金を創設。

 

 

 

 

3-5 政策委員会

 

「政策委員会・金融政策決定会合」

金融政策を決定している日銀の最高意思決定機関。

 

日銀・総裁1人、副総裁2人、審議委員6人の9人。

多数決で決議される。

 

金融政策決定会合は月1回。

2013年4月まで白川総裁。

 

政府の「財政政策」とも関連するため

内閣府と財務省からも参加。

 

しかし投票権はない。

→日銀の独立性を保つため。

 

決定事項は市場にインパクトを与えるため

ブラックアウトルール(守秘義務)がある。

 

会合2日前から発表まで外部に金融政策について話してはいけない。

 

 

 

 

 

3-4 公開市場操作(オペ)

 

日銀 公開市場操作(オペ)

 

①資金供給オペ

日銀がインターバンク市場に資金を供給。

 

国債、地方債を担保に、銀行に資金を貸し出したり、国債を買い取ったりする。

民間銀行の日銀当座預金口座に資金を振り込む。

 

通常、インターバンク市場から資金の不足分を補っているが、日銀からの資金があれば借りる必要がなくなり、市場の金利は下がる。

 

②資金吸収オペ

日銀がインターバンク市場から資金吸収する。

 

日銀が手形を振り出したり(手形を売ったり)国債を売ったりする。

 

銀行は日銀の口座に資金を振り込まなくてはいけない。資金が少なくなり市場から借りる。

金利は上がる。

 

★日銀金融政策

「預金準備率操作」

 

銀行は顧客から預かった預金の一定の率を日銀口座に預ける義務がある。

この「預金準備率」をコントロールして資金を操作する。

 

91年を最後に実施されていない。

・企業の資金需要が減り、銀行は資金を余らせているため。

 

・日銀は金融市場に資金供給していて、兆円が銀行の日銀口座に預けられたまま。

 

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(ひとこと)

銀行の日銀口座にはお金が余っているなんて。。

国民は生活に困っているのに。

いい使い道がないのだろうか。

 

 

 

 

 

3-3 景気にブレーキとアクセル

 

日銀「公開市場操作(オペ)」

★インフレ時 → 「金融引き締め」を行なう。

 

無担保コール翌日物金利、誘導水準引き上げ↑

→資金を吸収する。(減らす)

→金利上がる↑

物価上昇の抑制

 

翌日物だけでなく、1週間、1か月、1年にも影響し、世の中の金利全体が上昇↑

 

企業、個人があまりお金を使わなくなり、景気に「ブレーキ」がかかる

 

 

★デフレ時 → 「金融緩和」を行なう。

無担保コール翌日物、引き下げ↓

→資金を供給する。(増やす。)

→金利下がる↓

物価下落の抑制

 

企業、個人がお金を使うようになり、景気に「アクセル」

 

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(ひとこと)

今はデフレだけど、もう金利下げるとこまで下げてるから、これ以上下げようがない。

政策は行き詰まってるのかな。。

 

 

 

 

3-2 無担保コール翌日物金利

 

日銀の「政策金利」とは、

=「短期金融市場」における資金取引の一つ、

 

無担保コール翌日物(よくじつもの)金利(オーバーナイト物)」のこと。

 

短期金融市場」・・1年以下の資金取引(お金の貸し借り)

マネーマーケットとも呼ばれる。

 

短期金融市場は

 

①インターバンク市場

②オープン市場

 

の二つに分かれる。

 

 

インターバンク市場

銀行、証券会社など金融機関だけが取引に参加。

 

コール市場」が中心。(取引高15兆円)

「呼べばすぐにお金が戻るほど短期間」という意味。

 

 

コール市場の中心的な取引が「無担保コール翌日物」。

→無担保でお金を借りて、翌日には返す。

 

銀行の営業活動の中で資金の過不足をここで調整する。

 

お金が余っている銀行は、足りない銀行に

1日だけお金を貸して、金利を稼ぐ。

 

 

 

オープン市場

金融機関に加え、商社、メーカーなどの一般企業、地方自治体も参加できる。

様々な資金ニーズに合わせて、金融商品が取引される。

 

・TDB(国庫短期証券)

・CD(譲渡性預金証書)

・CP(コマーシャルペーパー)

 

 

 

日銀は、①インターバンク市場に対して

公開市場操作(オペ)」を行なう。

 

「無担保コール翌日物金利」を、日銀が目標とする金利水準に誘導する。

 

金利は、銀行同士の自由取引なので、日銀が無理やり金利を決めつけることはできない。

 

そこで、巨額のお金を供給したり、吸収して操作する。

 


 

(ひとこと)

今日のところはおもしろかった。

 

今日出てきた言葉は、言葉だけはよく聞くけど、内容が初めてわかった。

日銀がお金を入れたり出したりして金利を操作してたのか。

 

 

 

 

 

3-1 金融政策とは

 

景気は良くなったり、悪くなったり循環する。

良くなりすぎるとインフレ、悪くなりすぎるデフレ。

 

経済に大きなダメージ、回復に時間がかかる。

→景気変動の波を「政策」によってコントロール

 

「政府」と「日本銀行」が行なう2つの「経済政策」

 

金融政策

日銀が金融面から経済を安定させる。

金利上げ下げ、お金の量の調整。

 

財政政策

政府が財政面から経済を安定させる。

 

歳出・・予算を使う。公共事業の拡大、縮小。

歳入・・財源を集める。増税、減税。

 

 

★日銀金融政策の目的

 

1.「物価」の安定 ←最優先課題

cf 世界の中央銀行の多くは「1.物価の安定」を重要な役割とする。

 

FRBは「物価の安定」と「雇用の最大化」

・日銀「物価の番人」と呼ばれる。

・「通貨の価値」は

インフレになると下がる。

デフレになると上がる。

 

 

物価安定=自国通貨の価値を安定させることにもなる。

インフレ目標(インフレターゲティング)が設定。

 

物価上昇率

 

★日銀金融政策の方法

「政策金利」の上げ下げ。

→世の中のすべての金利の基準になる金利のこと

利上げ、利下げ。

 

 

2.「金融システム」の安定

金融システム・・銀行などの金融機関を中心とした「お金の流れ全体」を指す

 

「お金は経済の血液」

お金(血)の流れが止まると、経済活動全体が悪化しマヒしてしまうことも。。

金融市場が不安定になると、金融機関がお金の貸し借りをする「金融市場」にお金を供給。

 

不安心理をやわらげる。

 


 

(ひとこと)

日銀の最大の役割が「物価の安定」を目標にしてたのは知らなかった。

 

 

 

日経一面 2011年11月

111101 上場企業2ケタ減益。 円高・タイ洪水打撃。今期見通し。TDK1.1万人減。ホンダ日米減産。
111102 日産、中国で高級車生産。 戦略立案、香港に集約。新興国の富裕層照準。
111103 3次補正月内成立。 民自公復興特会新設で合意。復興増税、調整大詰め。
111107 東証・大証来秋合併。 4子会社に再編。東証、来春大証株を過半取得。
111108 所得増税25年に延長。 民自公、復興債決着へ。
111109 含み損最大1000億円超。 オリンパス損失隠し。2000年に「飛ばし」か。
111110 イタリア国債「危険水域」。 利回り7.4%。資金調達に不安。首相辞意でも動揺続く。
111111 預金水増し損失隠す。 オリンパス1300億円資産計上。第三者委調査。時価会計導入機に。
111112 TPP交渉参加表明。 首相「関係国と協議」農業・医療の支援強調。国内調整は難航必至。
111113 米中アジア経済圏で火花。 APECで議論へ。中国「TPP透明性必要」米国「門戸は開いている」
111115 TPP世界経済の4割。 日本・カナダ・メキシコ交渉参加。自由貿易の中核。 
111116 日産・ダイムラー合弁生産。 メキシコで年20万台。投資負担軽減し新工場。
111117 欧州危機拡大を警戒。 独仏国債利回り差最大に。米「迅速に行動を」
111118 太陽電池海外で生産。 パナソニックマレーシア新工場。500億円成長分野へ。
111121 海外出店数、国内を逆転。 アジア中間層開拓。小売り・外食加速。コンビニ5社純増1.5倍。
111122 消費税2段階で10%。 14年春まず8%軸に。政府・民主方針。「軽減税率」は当面見送り。
111123 伊藤忠、米天然ガス社買収。 5400億円、対日輸出めざす。米ファンドなどと。
111124 企業、サーバー集約し防御。 日立、4500台を3か所に。相次ぐサイバー攻撃、災害。JT・東芝も。
111125 リスク回避株離れ鮮明。 日経平均8200円割れ。欧州危機深刻に。中銀預金に滞留。
111126 トヨタ、BMWと提携交渉。 ディーゼルエンジン調達。環境技術広範に。ハイブリッドなど。
111127 大型後発薬相次ぎ登場。 認知症や生活習慣病治療。医療費抑制に追い風。
111128 市長橋下氏 知事松井氏。 維新勝利、都構想に支持。大阪ダブル選。
111129 東電、リストラ加速。 KDDI株1800億円で売却。政府、経営監視強める。熱供給子会社も。
111130 就活変わる。 説明会集中。ネット採用進化。大学3年2カ月遅れあす解禁。

2-11 インフレ・デフレ

 

〇「ゆるやかなインフレ」が経済に望ましい。

× 急激なインフレ、デフレ・・経済に悪影響

 

物価・・モノやサービスの価格水準

モノ需要>供給

物価も上がる。

 

通常の経済であれば、物価上昇は悪いことではない。

給料も上がるため。

 

年2%弱の物価上昇率が望ましい。

 

インフレ(インフレーション)

物価上昇ペースが加速する。景気が良くなりすぎる。

 

「インフレ期待」この先もインフレが続くだろう

 

急激なインフレがよくない理由

・給料の上昇が追いつかない。

・預金増加が追いつかない。

 

ハイパーインフレ

物価が1年で何倍にも上昇する

2006年 ジンバブエ 独裁政権 経済崩壊

年率2億%

 

 

★デフレ

モノの値段が下がり続ける。

悪循環→デフレスパイラル

「物価は経済の体温計」

 

全国消費者物価指数(CPI)

消費者(全国の世帯)が購入するモノの総合的な価格を指数化したもの。

 

2005年の数値を100として何%上下したか発表。

・総合

コア(生鮮食品を除く総合)

→天候の影響を受けにくいので一般的。

原油価格に影響されやすい。

 

・欧米型コア(食料・エネルギーを除く総合)

 

②GDPデフレーター

名目GDP÷実質GDP

 

CPIは下落。デフレ状態。

・雇用・所得回復弱く消費伸びず

・中国からの安価な製品、値下げ競争

・デフレ定着。「もっと下がってから買おう」消費者の買い控え。

 

長期的、慢性的なデフレは人口面。

過剰供給。過小需要。