4-10 格付け機関

 

格付け機関の評価で変わってくる。

 

債券の信用度合いを評価する格付け機関の評価が、金利水準に反映される。

債券のデフォルトリスクを格付けで見る。

 

格付け機関の評価は金利を動かす要因になる。

 


デフォルト(債務不履行)

債券の発行体が破綻して元本と利子が受取れなくなること

 

格付け会社


「スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)」

「ムーディーズ」

 

米英

「フィッチレーティングス」

 

日本

「格付投資情報センター(R&I)」

「日本格付研究所(JCR)」

 

発行体がが債券の元本と利息を償還(満期)まで予定通り支払えるか、という見通しを記号で表す。

AAA~Dまで。

 

AA~CCCまでは+、-を付ける。

AAA ~ BBB- 投資的水準

BB+ ~ D 投機的水準。投資リスクが高い。

 

「ジャンク債」と呼ばれる。

ハイリスク・ハイリターンを狙う人は買う。

 

方向性の見通し「アウトルック」

 

長期格付けが中期的(6ヶ月~2年)にどの方向に動きそうかを示す。

 

①ポジティブ

↑に向かう。

 

②ネガティブ

↓に向かう。

 

③安定的

→横ばい

 

④方向性不確定

 

上にも下にも向かう可能性がある。

 

格付けは、絶対的なものではない。

 

日本国債がムーディーズでA2まで格下げされたとき財務省は強く反論。

格付けで発行体の資金調達コストが変わる。

 

格付けが高いと、リスクプレミアムが低い。

 

投資家は格付けを投資判断材料とする。

 

企業はお金を払って「依頼格付け」を取得する場合がある。

「勝手格付け」もある。

 

重要度の高い、国、銀行、保険会社などが対象。

 

 

 

 

 

 

 

 

4-9 リスクプレミアム

 

信用度合いで金利が変わってくる

 

金利は信用度合に応じて加味される「リスクプレミアム」によって変わってくる。

 

信用度が低いとリスクプレミアムが高くなる。

 

銀行の貸出金利は、元金や利子が返ってくるか、信用度合いで変わる。

 

 

貸したお金が返ってこない→信用リスク

信用リスクが高いと、金利上乗せ。

 

その上乗せ金利をリスクプレミアムという

 

ほかに、価格変動リスク、財政リスク、流動性リスク。

 

 

「プライムレート」・・銀行の最優遇貸出金利のこと。

(借りる方から見ると、最も有利な借入金利のこと。)

 

1年以下を短期プライムレート

1年以上を長期プライムレート

現在は短プラの出番は少ない。

大企業向けは「スプレッド貸出」

 

 

TIBORを基準に信用度に合わせて金利を決めるやり方。

 

リスクプレミアムは貸し出す「期間」にも左右される。

1年より10年の方がリスク高い。

 

流動性リスク・・市場での売買しやすさ、換金しやすさ

 

不確定要素が高いほど金利が上がり、資金調達コストは上がる。

 

 

 

 

 

 

 

4-8 米金融政策

 

米国の金融政策が日本の金利を動かす

「世界の中央銀行」ともいわれる米国の中央銀行、FRBの金融政策も、日本の金利に影響を与える。

 

 

各国の「中央銀行」の役割

自国の金利を適正な水準にコントロールし、物価や金融システムの安定に努める。

米FRBは世界に影響を与える。

 

新興国と米国の経済は切り離されている「デカップリング論」はリーマンショックで否定された。

 

リーマンショック後、協調利下げ。

 

世界の金融市場の大混乱に対応するため。

 

FRBの利上げの「時期」と「幅」が世界経済の命運を握っている。

 

米は、まだ住宅バブル、信用(クレジット)バブルが崩壊したあとの治療、療養期間。

FRB金利の動きは日本の金利にも影響する。

 

 

 

4-7 株と金利

株価↑ 金利↑

理由 株価が上昇すると債券を現金化して株を買いたい人が増える。

 

債券売りが進むと債券価格は下がり、金利は上昇。

「株から債券へのシフト」という表現があるが、実際には「株を売る投資家」と「債券を買う投資家」は別のことが多い。

 

 

 

 

 

 

 

 

4-6 為替と金利

 

円高

→輸入品の価格下落

→国内製品も対抗して物価下落

金利低下

 

円安

→金利上昇

 

逆に金利も為替に影響を与える

1国の金利が上がれば、その国の金融商品を買うためにその国の通貨に変える。

 

 

 

 

4-5 財政政策

 

財政政策でどのように動く?

財政政策が拡張か緊縮か、国債が増発されるかどうかで、長期金利が動く。

 

「財政」は金利に大きな影響を及ぼす。

財政とは、政府が税金を使って国民生活に役立つサービスを行なう活動。

 

税金の使い道

 

・年金、医療社会保障

・教育

・道路など公共事業

・防衛

 

 

「マクロ経済政策」

国の経済全体に影響を及ぼす政策

 

①日銀 金融政策 短期金利に影響する

②政府 財政政策 長期金利に影響する

 

→なぜなら国債の発行方針は財政政策で決まるため。

 

国債の利回りは長期金利の指標。(新発10年物)

 

 

財政政策

①財政拡張(財政出動)

②財政緊縮

 

 

 

 

4-4 資金供給オペの種類

 

金融政策はどう作用する?

世の中の金利のうち、とくに短期金利は、日本銀行の金融政策に沿って動いている。

 

景気は良くても悪くても、物価の上昇、下落につながる。

 

「景気の行きすぎ」を押さえるために日銀の「金融政策」がある。

 

インフレ時→金融引き締め

デフレ時→金融緩和

 

 

★資金供給オペレーション(オペ)

①共通担保オペ

国債、社債などを値担保(担保の一種)として資金供給。

 

②国債買い切りオペ

日銀券(お札)発行残高を上限に日銀が長期国債を買うことで資金供給。

 

③国債買い現先オペ

国債を売り戻し(買った債券を再び売ること)条件付きで日銀が買うことで資金供給。

④国庫短期証券買い切りオペ

国庫短期証券を日銀が買い入れて資金供給。

 

 

★資金吸収オペ

 

・手形売出オペ

・国債売り現先オペ

 

公定歩合の性格は、銀行から見ると「天国から地獄に」

 

昔は市場より安く借りれたので、補助金のようだったが、今は市場より高く借りることになるので、罰則。

日銀にはお金が余っている。

しかし信用力の低いところには貸さない。

 

貸し倒れ、不良債権になるのを避ける。

 

景気が悪いので借りたがる企業や家計は少ない。

→「信用創造が活発でない」という。

 

民間銀行の日銀当座預金には「死に金」が積み上がっている。

 

91年以降「預金準備操作」は行なわれていない。

 

銀行は日銀の口座に一定の割合入れなくてはいけない

この義務を「準備預金制度」という。

 

預け入れる一定の率→ 「預金準備率」

預け入れる最低金額→ 「法定準備(所要準備)」

 

例:預金残高が2兆5000億円、1.2% 300億円

 

銀行は近年法定準備を上回る額を預けている。超過準備。

→世間の銀行からお金を借りたいという資金需要が弱いことを示している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

4-3 物価と金利

 

物価の上昇、下落はどう影響してくる?

 

物価上昇と金利上昇の関係を理解すれば、両者の変動によってお金の価値がどう変化するかがわかる。

 

物価↑ 金利↑

 

普段利用している預金や住宅ローンは物価の変動が加味されない「名目金利」

 

金利上昇、と言っても、物価も上がっている場合があるので「実質金利」で見る方がいい。

実質金利=名目金利-物価上昇率

 

例1:

定期預金の金利5%。物価上昇率3%

100万円が1年後は105万円。

100万円の車が、1年後は103万円。

今車を買ったらお金は残らないが、定期にして1年後に車を買えば2万円残る。

名目金利が物価上昇率を上回っている(お金の上昇がモノの上昇より多い)とお金は実質的に増える。

 

例2:

定期預金の金利1%。物価上昇率3%

100万円が1年後は101万円。

100万円の車が、1年後は103万円。

車は買えない。

 

名目金利が物価上昇率を下回っている(お金の上昇がモノの上昇より少ない)とお金は実質的に減る。

景気悪化、名目金利は下がりやすい。

 

景気悪化、金利が上がるインフレは、スタグフレーション

→かなり悪い経済状態。

 

 

例3:

定期預金の金利1%。物価上昇率-2%

100万円が1年後は101万円。

100万円の車が、1年後は98万円。

 

3万円の金利(3%)と同じこと。

デフレの状態。

 

一見家計が助かるように見えるが、企業の収益が減るので結局は悪影響。

名目金利が物価上昇率を上回っている(お金の上昇がモノの上昇より少ない)とお金は実質的に増える。

 

近年の状況。

預金金利がインフレ率(消費者物価指数)を上回っている。

 

 

 

 

 

 

日経一面 2012年2月

120201 インフラ1兆円輸出支援へ。被災地から優先調達。水道、鉄道、政府が方針。ミャンマー向けなど。三井物産、日立製作所。アジア中心。(途上国へのインフラ輸出。輸出ってことは円高だと厳しいんだよね。でも上下水道の整備とかに日本の技術を使えるのはいいね。)
120202 電機苦境再生急ぐ。権限集中で改革。ソニー平井社長兼CEO体制に。ストリンガー氏取締役会議長に。(一世代前、日本を支えたこの業界がいつかは斜陽産業になることもあるのだろうか。でも家電はなくならないだろうから形を変えていくのかな。)
120203 商社、海外から配当1兆円。資源事業実を結ぶ。円高追い風に投資拡大。油田、ガス田、鉱山資源権益からの収入。(貿易から投資に方向転換してうまくいってるんだ。)
120204 今期パナソニック最終赤字7800億円。環境軸に収益改善急ぐ。三洋の減損処理響く。(テレビで「パナソニックのゴパン」て言ってたのがちょっと切なかったなあ。。)
⑥120205 世界の株回復中銀が支え。相次ぐ緩和46市場で上昇。実体経済とズレ。(今年はちょっと上向く方向なのかな。でも油断はしないぞ。)
120206 三菱自、欧州生産撤退へ。新興国シフト加速。需要低迷、来年メド。(おじいちゃん国から若者国へシフトって感じがする。)
120207 ボルボ・UD(スウェーデン)、東風(中国)と提携。中国で環境対応車。トラック生産日欧中連合。(いすずのトラックも重慶汽車グループと大型トラックを共同開発している。どんな業界もグローバル化が進んでる。)
120208 半導体3社事業統合交渉。ルネサス、富士通、パナソニック。設計と製造で新会社。生き残りへ開発力強化。(競争から共同へ。抱え込むよりオープンに。それでよりよい社会、世界になればいいと思う。)
120209 米軍中国にらみ再編。「普天間移設待てぬ。」防衛協力日本の役割増す。
120210 ギリシャ緊縮策合意。EU・IMF追加支援の公算。(このまま欧州問題収まってくれたらいいけど国債の償還日をむかえる3/20前後にまた一波乱ありそう。まだまだ注意。)
120211 邦銀、信用力で優位。ドル調達拡大、海外事業を加速。欧州危機で欧米銀にリスク。(相対的に日本がよくなっているのか。)
⑦120212 欧州金融なお綱渡り。ギリシャ緊縮策可決の公算。ユーロ圏実行力見極め。伊では34銀行が格下げ。(まだまだ予断は許さない状況か。)
120213 東電と国最終攻防。経産省、議決権「2/3」視野。資本注入に5条件。社長「民営望ましい」
120215 脱デフレへ緩和継続。日銀「物価上昇1%めど」明示。国債買い入れ年40兆円に。(脱デフレへ向けて少しでも動きだせるんだろうか?)
120216 緩和マネー、株価下支え。円高一服、業績好転に期待。日経平均9200円回復。 
120217 低燃費車三つどもえ。ディーゼル再評価。軽は30キロ超え、ハイブリッドに迫る。(マツダのディーゼル開発をビジネスサテライトでもやってた。ディーゼルってイメージ悪かったけどこれで少し解消されるのかな。)
120218 北米最大ガス田開発。三菱商事。4800億円日本にLNG輸出へ。発電コスト低減。(LNG液化天然ガスの輸入が増えている。安定確保ができるようになるのだろうか。)
⑧120219 温暖化対策取引1万社と。パナソニック排出削減促す。国際基準「スコープ3」に先手。
120220 秋入学、変革のうねり。沈む日本危機感共有。(グローバル化もいいけど、独自の文化も結構大事にしたいなと思ってしまう。。日本中どこにいっても駅前は同じ風景というのがちょっとさみしい感じと似ているかも。)
120221 先端医療実用化早く。厚労省と20大学連携。臨床研究を支援。iPS細胞・心筋シート。(こういうニュースは歓迎。)
120222 ギリシャ財政、EUが監視。欧州中銀など協力。緊縮策に懸念。
120223 超円高修正進む1ドル80円台、一時7か月ぶり水準。米景気に期待感、リスク回避緩む。
120224 年金2000億円大半消失。AIJ投資顧問「高収益」と虚偽。100超す企業から受託。きょう業務停止命令、金融庁。
120225 ケイマン使い実態隠しかAIJ年金全額を投資。登録取り消しへ。金融庁。(タックスヘイブンでケイマン諸島ってよく聞くけど実際こういう風に使われてるのか。)
⑨120226 信託・企業年金も調査。政府、ずさん運用洗い出し。AIJ問題。資産内容リスク管理点検。
政府は約2000億円の企業年金資金の大半が消失していたAIJ投資顧問の問題を受け、実態調査に乗り出す。
120227 AIJ契約、中小9割。厚労省、昨年度末調べ 80年金120件
120228 エルピーダ更生法申請。国策半導体は頓挫。市況悪化韓国勢に後れ。負債4480億円、製造業最大。
120229 AIJ委託94に拡大。12月時点全容年金など2043億円。

4-1~2 金利と景気

 

需要と供給のバランスが金利を決める

金利が動く基本は、お金の需給バランスにある。

 

金利の変動はお金の需給関係が変化するから。

 

有利なのは少数派。

 

需給バランスで決まるしくみを「マーケットメカニズム(市場原理)」という。

 

金利は為替より経済に及ぼす影響が大きいので、日銀の金融政策でコントロールされて大幅な変動は阻止されている。

 

景気の良し悪しでどう変わる?

金利は好景気と不景気の循環に左右されるが、同時に景気の行き過ぎを防ぐ安定化装置の役目も果たしている。

金利は景気循環に大きく左右される。

金利を動かす最大の要因が「景気」。(経済活動の勢い)

 

好景気→金利高に。

 

同時に金利は「景気を動かす力」にもなる。

 

お互いに影響しあう。

行き過ぎを止める。

 

「スタビライザー(安定化装置)機能」

 

長期金利は経済成長率と連動している。

 

・ 高度成長期

GDP成長率・・9.5%

長期金利・・8~14%

 

・ 現在

GDP成長率・・1.0%

長期金利・・1.4%

 

この10年間、長期金利は2%を超えられない

「2%の壁」