日経新聞2020年10月20日 「河野規制改革相、注目の発言は?」より引用
・再生エネ規制見直し
・太陽光、風力、設置しやすく
・自動運転車も全国展開急ぐ
<ここが気になる>
1つはエネルギー分野です。
風力や太陽光発電などの再生可能エネルギーの利用を促すために、「きっちり課題の洗い出しをし、1つずつみていきたい」と述べました。
河野氏が念頭におく課題とは、農地法などによる用地の規制です。いまは荒廃した農地に太陽光パネルを設けようとしても、大半の農地の転用が原則認められていません。
日本の発電量のうち、再生エネルギーの占める割合は17%です(18年度)。一方、欧州は30%前後と日本よりも高い水準にあります。
日本政府は「30年度に22~24%」という目標を掲げており、達成するには太陽光発電のほか、洋上風力などの活用方法も具体的に考える必要があります。
もう1つはドローン(小型無人機)や自動運転車といった先端技術の実験が認められている国家戦略特区についてです。
「いつまでも特区だけでやっているのはおかしな話だ」として、全国展開を急ぐために手法を見直す考えを示唆しました。
今後、各分野での規制緩和が実際にどのように進められていくのか注目が集まります。
日経新聞2020年10月20日 「河野規制改革相、注目の発言は?」より引用
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<以下全文>
河野太郎規制改革相は日本経済新聞のオンラインでのインタビューに答え、再生可能エネルギーの活用促進に向けて既存の制度を総点検すると表明した。
風力や太陽光発電の利用を増やすため「きっちり課題の洗い出しをし、一つずつみていきたい」と述べ、関連する規制や基準を順次緩和する方針を示した。
経済界の要望を踏まえたもので、事業者の投資を促し、菅義偉政権がめざす再生エネの普及を後押しする。
河野氏は「新しい経済の発展につながるものは取り入れていきたい」と強調した。
押印廃止などの行政手続きや医療を巡る制度の見直しに加え、エネルギー分野の規制改革にも注力する。インタビューは16日に実施した。
再生エネ政策を巡る規制見直しは日本経済新聞の「社長100人アンケート」で、行政手続きのオンライン化に次いで要望が多かった。
河野氏はアンケート結果に触れ「いろいろな規制で投資ができないと聞いている」と指摘した。
すでに関係する規制のリストアップを始めた。
各府省に「緩和ができないものは理由を言ってもらうというキャッチボールをやっていきたい」と指示したと明らかにした。
行政機関での押印削減のやり方を生かす。
いまは荒廃した農地に太陽光パネルを設けようとしても、大半の農地の転用を原則認めない農地法や農業振興地域法といった法律が壁となる。
風力発電の設置に適した海岸には港湾施設など国有地や公有地が多い。
そうした場所でも占用許可を得やすくする制度改正を視野に入れる。用地を確保しやすくなれば発電コストを軽減でき、投資に弾みがつくとみる。
洋上での風力発電は国が指定した海域しか建てられない。事業者が建設したいエリアがあっても国の「促進区域」に選ばれない限り建設できない。
事業参入には少ない候補海域を巡る公募で勝ち残る必要もある。
日本の発電量に占める再生エネの割合は2018年度時点で17%と、30%前後の欧州と比べ低水準にとどまる。
政府は30年度に22~24%に高める目標を掲げる。
安定供給には送電網の容量の制約もある。
国が認可する送配電等業務指針であらかじめ、石炭火力や原子力に優先的に割り当てられている。
再生エネの発電量が増えても空き容量は少なく、送電網の容量を超えれば出力制限がかかる。
政府は再生エネに関する規制全体を見直す。
河野氏はドローン(小型無人機)や自動運転車の全国普及にも意欲を示した。
「世界最高水準のことができる規制に変えていきたい」と語った。
これらの先端技術は国家戦略特区に指定された地域で実験が認められている。
「いつまでも特区だけでやっているのはおかしな話だ。見直しのため準備を進めている」と明らかにし、全国展開を急ぐために手法を見直す考えを示唆した。
シンガポールなど東南アジアでは特定の地域に限らず全国で規制緩和を推進する例がある。
「規制があるために日本が世界の先頭を走れないのは問題だ」と訴えた。
産業振興だけでなく、地方の過疎化や高齢化への対応策にも生かし「自動運転やコストの安い移動手段の確保を考える」と説明した。